[Grad2019] 「テーマを書く」課題の提出について

Stephen J. Turnbull turnbull at sk.tsukuba.ac.jp
Tue Jun 7 12:22:06 JST 2016


皆さん、

テーマ等についての文書は王欣怡さん、櫻井崇博さん、と尚莞璐さんが提出し
てくれたのです。[1] ありがとうございます。

そこに留まったことにがっかりしました。

研究生でも、もうただの「学生」=「学ぶ生き物」ではありません。これから
の人生はオリンピック陸上競技に例えられると思います。知っていると思いま
すが、オリンピックに出られる選手は国のトップで足りなくて世界レベルの時
間を下回る実績を挙げないとオリンピックに出られません。もちろん、ゴール
ドメダルを狙われません。

大学院生はそんな選手に似ています。授業の成績、入学試験さえ、予選のスター
トラインに立つ資格にすぎません。研究論文の方が人生の勝負の決め手になっ
ています。(だから日本の就活制度が間違えていると思います。結果が出る時
期の前に選択することは誰にも利益となりません。)

しかし、選手の経験者以外のものが知らない事実があります。選手資格を取得
するには自己ベストを出す選手はほとんどいないのです。なぜなら、「テーパー
リング」というトレーニングが必要。つまり、筋肉トレーニングなどをやりす
ぎたら、体が硬くなってベストタイムができません。しかし、本番にそんな強
さがなければ予選でも勝ち抜けることはありません。したがってハードなトレー
ニングしながら資格ラインの下回る結果を出してから、本番に近付くとトレー
ニングをテーパー(量減少)して質的に柔軟性重視したトレーニングとダイエッ
トに切替えるのです。

大学生は同じです。試験の結果は「これ以上」を出せなければもちろんダメで
す。しかし、それだけを狙えば最終的に駄目でしょう。2・3年分の勉強が終
了以降の仕事に役立たなくなるでしょう。なぜなら、最終的に論文を出すため
に技術に目を向けて研究の経験の意味を与える「まとめる能力、説明能力、解
釈能力」の質的に優れているトレーニングを無視して落としてしまうのです。
そうすれば、君にゴールドはありません。

最後に言っておきます。選手との大事な違いがあります。アメフトのプロ監督
のVince Lombardi氏は「Winning isn't everything, it's the *only* thing.」
という名言を残しました。オリンピック選手にはゴールドが一つだけです。一
番になっていない選手にゴールドが与えられていません。君達はそこに違いま
す。君達皆はゴールド(「お金」、そして昇進、出世)が同時にもらえるので
す。競合的なゴールドではありません。世に貢献すれば世から報酬は得られる
のです。

約束はできません。この世は気まぐれかつ不公平です。しかし、この道に入っ
てはカゼマカセでもありません。確立的に成功するでしょう。A Random Walk
Down Wall Street に似ている理論です。地味な真ん中を辿ると最終的に儲か
るのでしょう。近道を探せば、目の前の結果だけに目を向けば、長期的に大き
な損しか期待できませんと思います。

テーマと現状についての文書を今すぐ書いて提出してください。「知識」を身
につける道ではなくて「知恵」をいただける道を選びましょう。

よろしく。

ターンブル


Footnotes: 
[1]  3人以外の方が提出済みなら教えてください。違うフォルダーに入れた
可能性が十分あります。





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