経済学入門III:マクロ経済学
Stephen J. Turnbull
筑波大学システム情報研究科准教授
2011年1月18日
社会工学類 総合科目A
2010年度3学期
生産と所得
- 今まで「総合生産」の概念と計測について話した
- 実は会計上に生産と所得の恒等式が成り立つ
- マクロでは今作った物は今消費しかない => なんらかの恒等式
- なぜ「生産 = 所得」とは「経済の循環」だ
経済全体の循環
- 経済の基本が交換、物と価値が流れる
- 物は、家計から企業へ労働・資本、企業から家計へグッズ
- 価値は企業から家計へ賃金・利潤、家計から企業へ収入
- つまり、「物」の循環にたいして「価値」の循環が逆に流れる
- 中間財は?
- 中間財は、企業と企業の間に流れるので、企業部門から出なくて、次の図では見えません
- 中間財は投入として入る、生産として出るが、労働と資本がなければ価値は増えない。つまり、労働と資本から付加価値が生まれる
フローの恒等式
- マクロ経済循環図についての注意
- 家計部門に入る「お金」には、賃金に(利潤の)配当を加わる(企業からみると同じ名前を使う)
- 企業部門に入る「お金」には、家計の支出と投資=企業の収入と資本調達(名前が違う)
- 市場の働きにより賃金と労働の価値は等しい
- 同じように車の価格とその価値は等しい
- つまり、逆に行くフローのバランスを守る
- ミクロ経済学の原則から分かる
- 反時計回りの価値循環はどこで量っても同じ
- 家計に入るところで測ると「所得」だ
- 企業に入るところは(家計の)支出だが、中間財を買う企業があるので測ることが複雑
経済の業績を評価したいとき?
- 総生産量(または国民所得)はある意味で経済の業績だ。しかし、どう評価すべき(よい業績、わるい業績)?
- 可能な生産(所得)と実際の生産(所得)の比較
- 生産量の制限を決める要因
- 労働(大体人口)と資本(両方ともストックで、生産に使われているのがそのサービスのフロー)
- 中間財や天然資源は労働と資本で必要だけの分を作るので制限にならない
生産関数
- 一定の労働力と(物理的)資本があれば、最大な生産量を生成する
- 式: Y = F(K,L) ただし、 Y = 総生産量、 K = 資本ストック、 L = 労働力
- 資本ストックと労働力を測らなければならない
- 本当に使える?
- ミクロ経済学では企業の利潤最大化問題で使われて、いろな価格の定めにかかわる
- しかし、マクロでは「最高責任者」(CEO)はいないので「最適化」には意味がない
- 後で理論で使うが、製作にあまり関係ない
- 逆に投入資源が興味深い:(労働の)失業率と雇用、(資本の)稼働率
労働者とは?
- 失業という現象がある、いや、中心的であるので雇用者を数えることは足りない;働くつもりで働けない人は「労働者」としなければならない
- 労働と失業率を測るには
- アンケート調査で調べる
- 注意点:国と国の基準が違う:アメリカでは「働きたい」という主婦は労働者、日本ではそうでない
- 何も売らないセールスマンは100%雇用者?
- 労働時間(人×時間)を測る方がよいでしょう(これはフォローだが)
資本
- 生産されて積み上げた生産要素
- 機械と工場などを数えて達すことは困難(たくさんの生産者は正確な会計をしない)
- したがって、違う方法:毎年の投資財の売上げを前年度の資本ストックに達して、減価償却を引く
- しかし、0年の資本ストックは、どう計算する?
- 永代在庫法(perpetual inventory method/PIM)
中間試験について
- 日時: 1月31日 08:40〜09:55 場所: 3A202
- 講義で扱った内容:
- 経済学とマクロvsミクロ
- 基本概念: 総生産量、部門統合、違う財の統合、付加価値、価格指数、
経済循環、経済成長、失業率、稼働率、減価償却、など
- 計算: GDP、GDPデフレータ、CPI、PIM
- 教科書
- 背景:第1章〜第4章。基本概念は要約と結論を読んでよい
- 所得の測定:第5章
- (生計費:第6章は中間試験後に説明)
- 経済成長:第7章